冬の海鳴り
今日の昼、海岸線の駐車場でひと休み。
冬特有の西高東低の気圧配置のために、天気は良くなかった。
海上の空には灰色の雲が低く流れ
海面に何本もの雷が落ちた。
海は大荒れで、大波が防波堤にあたって砕け散っていた。
雨や雹、雪が降ったり止んだりを繰り返していた。
(写真中央右あたりに微かに見える塔のようなものは、風力発電機の羽根です)
時折、灰色の雲のすきまから青空と白い雲が見えた。
頭上の天気はコロコロと変化を繰り返していた。
絶え間なく押し寄せる大波
冷たい強風
耳から入りつづける海鳴り
体を震えさせつづける海鳴りの振動
これらは頭上の空と違い
絶えることなく、ずっとつづいていた。
冷たい強風が、海岸線の松林をうならせていた。
「ドッドッドッドッ」と巨大な発電機が運転しているような音が
海から、足元の地面から、海沿いに並ぶ家々から聞こえていた。
冬の海鳴り。
下腹に響くような海鳴りは初めてだった。
恐怖を感じさせる音だ。
ぼくは、海には年に数度くらいしか来ない。
恐怖を感じさせるような海鳴りを聞くことも初めてのことだ。
一種の非日常経験。
体中で海鳴りの振動を感じていると
体が地面から2センチメートルくらい浮いているような
不思議な興奮と、感じたことのない感覚だった。